「犬のいる暮し」 中野孝次著

犬のいる暮し

犬のいる暮し

今までに数匹の犬を飼ってきたが
それはボクのために両親が飼ってくれていたのだった
現在、愛犬クマ(9ヶ月)が居てくれるのは なによりも両親が喜んでいる
失礼ながら 老夫婦の会話が乏しくなっているところへ
クマが見事にその話題を提供してくれ 散歩を日課にし
日々犬の世話をすることが 両親の心の癒しになっているようである

「犬のいる暮し」ではこんな面白いことが書いてあった
作者の前著 「ハラスのいた日々」の中で 犬を定義し、

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− 犬とは一度手に入れた権利を絶対に手離さぬ存在である。
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っと。なるほど毎日定期的に数回、散歩に連れ出す時間が来ると
必ず犬小屋から出て待っている。遅れるとクンクン言って催促がはじまる

作者は エーベルハルト・トルムラー著 「犬の行動学」(中央公論社)
を 犬のことについて書かれた本の中でも最も優れたもののひとつと紹介している
で、ドイツ語に堪能そうなこの著者、
國學院大學でドイツ語講師をしておったそうで。
先の山口瞳さんが 同大卒っということで ボクは親近感を持ったのであるが
偶然選んだ書物でわが母校、國大に因縁があるというのは面白いな

著者の犬は柴犬を三代に渡って飼われた由であるが
ウチのも柴犬系なんで興味を持って読んでみた
内容に一々ごもっともと頷きたく、ほほえましく読了した
老年のご夫妻に是非読まれたい一冊である
犬を飼ってない人も この本にあたると
「ウチでも飼ってみようかな」っとお考えになるんじゃなかろうか