棕櫚竹の鉢


園芸趣味のないボクには 唯一の鉢植え物なんである

丁度この時期だったろうか
父ちゃんが死ぬ間際に シュロチクの株分けを ボクに手伝わせた
お店の前に飾るものであるから こいつの世話だけは教えておきたかったんだろう
その頃、既に父ちゃんの左腕は神経が冒されて動かなかった

ボクへの負担を恐れて 庭の植木は職人さんの手によって 殆ど刈り取られていた
池の鯉も業者にもらわれていった
殺風景になった庭を見て 父ちゃんはどんなにか辛かったろう
ボクも本当に辛かった
でも、飲食店という商売は 自由になる時間がない
もしも 植木や池の鯉が残されていたなら
充分な世話もできずにゆっくりと廃れていく庭を
ボクはどうしようもなく 辛く悔しく見ていったろう

それで お店の前にある一鉢だけが ボクの鉢植えなんである
なにも難しいことはない
ただ 常に鉢の中の土が 乾かないように お水をやればよい
昨今のポカポカ天気にさそわれて ボクは料理鋏を手にして
余分な枝葉を刈り取ってやった
近所仲間に「いよっ 精がでるね!」っと 声をかけられるのが 嬉しい
知った風をして ちょきちょき鋏を入れていると なんだか鉢植えの様子が 淋しくなってきた
切りすぎたんじゃな
それでも ちょきちょきの軽快さが たまらんのである
散髪屋さんが客の頭を刈りすぎるように 止まらんのである

で、貧相なシュロチクになったしもうたな
気の毒にな
まぁ はように新しい芽を出しなさい お水はやるから…


本日 車検が終わった愛車のスターレットがもどってきた
前輪二本を新品にする必要があった
乗ってみると タイヤを替えるだけでこんなに違うもんかとビックリした
カーブがスムースに曲がれる

132000円

この お金のない時に 痛いな
しようがないから オリックスのカードで お金を工面した