日記 2001/5/24 「トビラ」マスター長野春義 52才 葬儀

入口の扉を開けるともう一枚 西部劇に出てくる両開きの扉が待ち受けている。店内も 当時 落花生のムキ殻が散らばりっぱなしの様な 「ウチ、気取ってません」の主張が どさっと語りかけてくる様なお店で
マスターは白髪をボサッと肩まで伸ばし、口髭をイヤという程たくわえ 「は、いらっしゃい」の一言だけ。ビールを注文すると入口扉ヨコの冷蔵庫から 自分で缶ビールを取り出して 着席しなければいけない。 薄暗く マスターも悪い人には決して見えないのだけれど ただひたすら会話のチャンスを探らなければ お店の新顔では居心地の悪いお店で。ただ、心地よく流れるJAZZが 店内の間延びを引き締めているよう。店内にキーボードほか 演奏器具があり、マスターが気がのると 演奏がはじまる。 ボクが唯一羽目を外して酔っぱらえたお店も ここしかなかったのである。マスターのお名前や お歳を伺ったこともなく ボクは本当に 新顔のまんまであった。
ただ、いつも優しく見てくれていた様に思う。ボクはひょんなことから 居酒屋のハシクレをさせて頂き、その自分の居酒屋のオヤジのスタイルをどういったモノに持っていこうか いつも考えていた。
高倉健演じる映画「居酒屋兆冶」。でも男前のようなことは出来ない。その次に こんな商売でありたいと思ったのが「トビラ」のマスターの様にと いつも思っていた。
所帯を持ち、夜更けておでん屋を閉めて訪ねることも 十数年 殆どなかったのだけれども 一度お客様に誘われて トビラを開いたのであった。その時 図らずも泥酔し トイレから出てきたら高椅子とまり木カウンターに付けない程、大酔っ払い。徒歩で帰るボクをマスターがお店の外に出て暫く観察していたのだという。
後日 行き辛いところを押して お店に立ち寄り 失礼を詫びた。ボクのお連れのお客様のこともあるから包み隠さず教えてくださいとお願いすると 淡々と 事の逐一を身振り手振りでお話ししてくれるのであった。まぁ、目の前の 堺川に転落することと それから交通量の多い横断歩道 そこンだけは 見ておいてやろうかと 何度も転ぶ ボクの千鳥足を見守ってくれていたそうな
あんまり恥ずかしくて ボクの目に涙が溜まってきたところで 「あんた メガネ 大丈夫で良かったね」
訃報は 急に 舞い込み つい先日まで 街でマスターに挨拶していたのではあるが ボクはとめどもなく泣いたよ。
無念にしても 病に倒れ
ボクは クチャクチャになったよ。
こうした お別れになるとは思いませんでした。
告別式、何だか まだまだ 気持ちの整理できぬままに ボォーと参列いたしました
最後に流れてくる マスターの大好きな曲 プロコロハルムの「青い影」
これを聴いたら 「さようなら」なんだと思いました。ボクも大好きな曲
涙がなみだが とまりませんでした
いま、「青い影」繰り返しくりかえし聴きながら マスターに追悼の作文作りおります。
どうぞ 天国で 音楽してください
ボク、ひっくり返ったら ギター持ってきます
青春が ぎっちり詰まった お店でありました。 心より ありがとうございます。
合掌

入口の扉を開けるともう一枚 西部劇に出てくる両開きの扉が待ち受けている。
店内も 当時 落花生のムキ殻が散らばりっぱなしの様な 「ウチ、気取ってません」の主張が どさっと語りかけてくる様なお店で
マスターは白髪をボサッと肩まで伸ばし、口髭をイヤという程たくわえ
「は、いらっしゃい」の一言だけ。
ビールは 入口扉ヨコの冷蔵庫から 自分で缶ビールを取り出して 着席しなければいけない。
薄暗く マスターも悪い人には決して見えないのだけれど ただひたすら会話のチャンスを探らなければ お店の新顔では居心地の悪いお店で。
ただ、心地よく流れるJAZZが 店内の間延びを引き締めているよう。
店内にキーボードほか 演奏器具があり、マスターが気がのると 演奏がはじまる。 ボクが唯一羽目を外して酔っぱらえたお店も ここしかなかったのである。
マスターのお名前や お歳を伺ったこともなく ボクは本当に 新顔のまんまであった。
ただ、いつも優しく見てくれていた様に思う。
ボクはひょんなことから 居酒屋のハシクレをさせて頂き、
その自分の居酒屋のオヤジのスタイルをどういったモノに持っていこうか
いつも考えていた。
高倉健演じる映画「居酒屋兆冶」。
でも男前のようなことは出来ない。
その次に こんな商売でありたいと思ったのが「トビラ」のマスターの様にと
いつも思っていた。
所帯を持ち、夜更けておでん屋を閉めて訪ねることも 十数年 殆どなかったのだけれども 一度お客様に誘われて トビラを開いたのであった。
その時 図らずも泥酔し トイレから出てきたら高椅子とまり木カウンターに付けない程、大酔っ払い。
徒歩で帰るボクをマスターがお店の外に出て暫く観察していたのだという。
後日 行き辛いところを押して お店に立ち寄り 失礼を詫びた。
ボクのお連れのお客様のこともあるから包み隠さず教えてくださいとお願いすると 淡々と 事の逐一を身振り手振りでお話ししてくれるのであった。
まぁ、目の前の 堺川に転落することと それから交通量の多い横断歩道 そこンだけは 見ておいてやろうかと 何度も転ぶ ボクの千鳥足を見守ってくれていたそうな
あんまり恥ずかしくて ボクの目に涙が溜まってきたところで
「あんた メガネ 大丈夫で良かったね」
訃報は 急に 舞い込み つい先日まで 街でマスターに挨拶していたのではあるが
ボクはとめどもなく泣いたよ。
無念にしても 病に倒れ

ボクは クチャクチャになったよ。
こうした お別れになるとは思いませんでした。
告別式、何だか まだまだ 気持ちの整理できぬままに ボォーと参列いたしました
最後に流れてくる マスターの大好きな曲 プロコロハルムの「青い影」
これを聴いたら 「さようなら」なんだと思いました。ボクも大好きな曲
涙がなみだが とまりませんでした
いま、「青い影」繰り返しくりかえし聴きながら
マスターに追悼の作文作りおります。
どうぞ 天国で 音楽してください

ボク、ひっくり返ったら ギター持ってきます
青春が ぎっちり詰まった お店でありました。
心より ありがとうございます。
合掌